「リテラシー」&「ファクトチェック」

「リテラシー」&「ファクトチェック」

現役学校教師の「literacy」&「fact check」ブログ

「希望」がしぼむと「失望」に…反動大…でも必然。

いよいよ投票日ですね。

私はすでに期日前投票を済ませましたが、まだの方はぜひ。

7~20時まで受け付けています。

 

さて、旧民主党時代の悪政により、世間から信頼できないという「レッテル」を貼られてしまった、民進党。

前原氏が「過激なギャンブル」に出た結果、世論調査の結果では失敗に終わりそうですが、いずれにせよ膠着化した政治に一石を投じたことは、間違いありません。

 

橋下氏の論調が、成功と失敗のカギを握っていたような気がしたんですけどね…

小池氏の言葉を使えば、「情報公開」でオープンにやることで支持を集めようとしたことが、結果的によくなかったのではないかと。

自民党公明党以外と「上手にすみわけ」できていれば、今回の選挙がまさに「政権選択選挙」となっていた気がしただけに、残念です。

 

「希望」は誰しもが持っているものだけに、裏切られた時のガッカリ感や喪失感は、普通以上かもしれません。

それも失速の遠因でしょうか。

 

では、なぜ「希望の党」は失敗に終わりそうなのか?

 

1.(都議選と違い)公明党の支持が得られない、(都議選以外と違い)社民党共産党・連合(労働組合組織)の支持が得られない

 無党派層の支持を得るために、組織を縦断した「大きな波」を起こすために、それこそ「しがらみ」を捨てたわけです。

 しかし、小泉進次郎氏も演説していましたが、この世の中で「しがらみがないなんてありえない」のです。

 選挙は勝負事、日本は民主主義国家ですから、使えるものは何でも使って、勝たなければならないのです。

 

 都議選は公明党の協力を得て躍進したことを忘れたのか、それとも今回は協力がなくても「大きな波」をつくれば何とかなると思ったのか…

 さらに、小池氏の「首班指名は山口代表」という発言で、それに輪をかけてしまった印象です。

 

 都議選以外では、民進党は野党共闘が進んでおり、地方選挙や補選でもある程度の結果が出ていました。

 前回の衆院選の結果による単純な票読みでも、野党共闘が進めば、多くの議席が取れるという調査結果も出ていました。

 

 公明党共産党組織力には賛否両論あるでしょうが、あなどれない存在であることは間違いありません。

 特定小選挙区で、毎回確実に議席を確保し続けているわけですから。

 

 主義主張や区分が明確になることで、支持がより広まり、大リーダー:小池氏を中心に「大きな波」になると考えていたのかもしれません。

 しかし、これは以前も書きましたが、もはや政党や個人の政策や思想をひとくくりにするのは難しくなっています。

 自民党保守政党ではない(これは後日書きます)し、党員(議員)すべてが同じ政策・思想なわけでもありません。

 両極端を求めることは、日本人気質ではないが、刺激的であり、支持は集めやすいんですが…

 

2.両極端を目指したがなり切れず、結局中途半端な印象になってしまった(=もっとも印象が悪い・旧民主党政権運営に似ている)

 逆、つまり「中途半端→両極端」だと、研ぎ澄まされたような印象で、受けがいいんです。

 小泉政権、第二次安倍政権(前半)もそうです。無党派層の支持を得るために、それこそ「しがらみ」を捨てたわけです。

 

 私は、日本人の文化は「和」だと思っています。

 何でも、良い意味でも悪い意味でも、中途半端なんです、中間をとるんです。

 その方が「平和」だからです。

 第二次世界大戦敗戦後、平和主義の日本は、もめ事を避けるように国家が形成されていきます。

 両極端やすいので、絶妙なバランス感覚で国際社会を生き抜いてきました。

 それが煮え切らない、ハッキリしないという人もいます。

 昨今、日本衰退、国際社会で埋没してきている原因だという意見もあります。

 でもそれが、日本人の良いところであり、悪いところでもあるのです。

 

 しかし、欧米(特にアメリカ合衆国)の考え方は、そうではない。

 社会保障制度1つ見ても、極端です。 

 第二次世界大戦後、アメリカの支配下で独立国への道を歩んできた日本は、欧米に対して「劣等感」と「あこがれ」があります。

 だから、両極端な思想や政策を掲げる政党や人物が輝いて見え、良くも悪くも人気となるのですが…

 

 結局、首班指名は誰なのか、選挙後はどこと組むのか、…戦略だったのか、本当にまだ考えていなかったのかは謎ですが、さまざまな点で中途半端な印象ばかり目立ってしまいました。

 選挙公示後、小池氏は政権への対決姿勢を明確にしましたが、「時すでに遅し」だったかもしれません。

 

3.「(仮想でもいい)敵」「味方」が誰・どこなのか、明確にしなかった

 小泉政権、第二次安倍政権は、ここをうまく突いて、政権への支持率と求心力を高めてきました。

 小池氏が都議選で、自民党都連を「敵」としたように、です。

 

 しかし今回は、結党の段階でそれがあいまいでした。

 いや、もしかすると、いわゆる「民進党のリベラルと言われる方々」(=民進党出身の立憲民主党候補者・無所属候補者))を「敵」と見せるつもりだったのかもしれません。

 

 しかし、結論から言うと、それは失敗しました。

 原因は、「排除」「さらさら~」「対抗馬」「遠慮していただく」などという、結党当初に出た扇動的かつ両極端な発言です。

 加えて、前原氏が両院議員総会で話した内容とも齟齬が生まれてしまいました。

 ここで、ある意味日本人的な「両極端の板挟みで犠牲になってかわいそう」という、ある種憐みのような心情が生まれます。

 もともと、希望の党から出馬するつもりがなかった候補者だけでなく、希望の党から「お断り」されてしまった候補者にさえも、同情が集まったのです。

 

 その結果、いわゆる「民進党のリベラルと言われる方々」(=民進党出身の立憲民主党候補者・無所属候補者))へ印象が相対的に上がり、希望の党やその候補者に対する印象が相対的に下がってしまいました。

 まぁこのあたりは、間髪を入れず立憲民主党を結党し、「敵」を小池氏や希望の党に仕立てた枝野氏や、「先に離党した人の股をくぐる気はない」と元代表&首相としての威厳を示したように見えた野田氏、当選のために政治信条を曲げることはできないという主張をして、希望の党に合流した民進党出身者を「敵」に仕立てた候補者たちの方が、日本人の心をつかむイメージ戦略では「上手」だったということかもしれません。

 

ブームをつくり、それに乗っていく予定が、流れを自ら手放した上に、他の党にブームを取られてしまうと…

しかも「レッテル貼り」「印象操作」が好きな日本人(特に若年層)には、この選挙だけでなく、これからも「いばらの道」が待ち受けるような気がします。

 

4.掲げている政策が、耳触りはよいが、総花的・場当たり的…寛容保守ではなかった?

 ここまで書いてくれば、「保守」はまだしも(意味が正しく理解されていない)、どこが「寛容」なのかと…

 

 「12のゼロ」:ここに入れる必要ある?、できるの?と誰もが疑問なものが3~4コ…

 「ベーシック・インカム」:遠い将来の話と言っていましたが、消費税増税を凍結するのに、財源は?

              生活保護でさえ見直すべきという世論の中、バラマキでは?

 

 

 

今回の選挙が、あくまで次の選挙への一里塚というのであれば、それでもいいのですが…違うんですよね?