日本の政治に「二大政党制」「小選挙区制」「二院制(両院制)」はなじまない?
今回の選挙戦の最中、希望の党の若狭氏が報道陣にいきなり「一院制」をぶちあげ、その発言の軽さに批判が出ていました。
「なぜ一院制がいいのか(=なぜ二院制はダメなのか)」「メリットとデメリット」といった点までしっかり説明してくれると、希望の党の浮沈にかかわらず、今後に一石を投じる可能性があったと思います。
提案した若狭氏が落選してしまったので、なおさら眉唾モノの話題になってしまった感があるのは残念です。
今回の選挙の結果も含め、また私が教育現場で指導しながら感じていることも含め、最近は
「日本の政治において、必ずしも二大政党制にこだわる必要はないのではないか」
「日本の政治において、小選挙区制・比例代表制はなじまないのではないか」
「日本の政治において、二院制(両院制)のメリットが生かされていないのではないか」
と感じています。
1.二大政党制にこだわらない理由
・日本は「和」の文化の国である。今回の選挙結果を見てもわかるように、
「判官贔屓」のようなことが起こり、政策や将来の議論が成熟しきれない。
・現在の衆議院選挙の場合、「政権選択選挙」と銘打ってはいるものの、
実際は与党・野党、看板政策どちらも複数ある状態で争っており、
純粋な「政権選択選挙」とはなっていない。
・二大政党制を掲げてしばらく経ったが、ほぼ実現されていない
(55年体制と民主党政権時くらい?、少数政党乱立・連立政権ばかり)
・選挙の際、目玉政策だけでなくたくさんの政策で争う面があり、
1つの話題や政策だけでどちらかの党(候補者)へ投票するといった
単純なものではなくなっている。
・【小】各選挙区1名当選では「死票」が増える
・【小】国政選挙では投票率が60%に満たない現状では、
当選者は実質的に有権者の半分以下の票数で当選してしまう
・【小】選挙目当ての野合や政策協定が発生する(政治不信の原因)
・【比】選挙区で落選したのに「復活当選」では民意が反映されていない
・【比】人気があれば、人となりが不明な人でも当選する可能性がある
・意思決定が複雑化し時間も費用も掛かる
・多様な民意の反映は、平均任期約3年の衆議院1つで十分
・国権の暴走は、三権の均衡と二大政党制にこだわらなければ抑制できる
そして何と言っても、この3つに共通するメリットは
・費用(議員数、議員報酬、選挙費用)と時間が大幅に削減できる
ことです。
旧民主党政権時、3党合意でなされた「消費税増税」「議員定数削減」が、依然としてどちらも中途半端です。
(この件を野党となった野田前首相が首相に質問した時の返答もひどいものでした)
消費税8%では財政再建には程遠い上に、増税分を社会保障費に使うという約束も、今回の選挙で自民党が勝利したことで公約が実行される見込みとなり、半ば反故になりました。
議員定数も微々たる数しか減っておらず、それもいわゆる「0増5減」に過ぎません。
このテの議論をする場合、必ずと言っていいほど出てくるツッコミが、「大部分の欧米諸国は二大政党制だ、二院制だ、…」などという比較論です。
しかし、根本となる文化が違うのですから、欧米との比較は意味をなしません。
あくまで日本がどうか、自分たちがどうか、という点です。
今回の選挙で、憲法改正が少しだけ話題となりました。
今後、いよいよ本格的に議論が始まり、メスが入っていくことでしょう。
この議会制度や選挙制度についても、思い切ってメスを入れる時期に
誰か、真剣に考えてくれる人はいないかな…